「避難生活者には、『取り残された』と思い、孤独を感じている人が多い。とにかく話を聞いてもらえるだけでも嬉しい」

震災後、取材で現場を訪れた際に知り合った安井覚さんは、電話越しにこう話した。宮城県東松島市の自宅を失い、職場で寝泊まりする生活を送っている。

「最も望んでいるボランティアは」と問うと、「話し相手が欲しい」という答えが返ってきた。

阪神・淡路大震災を契機に発足した「週末ボランティア」代表の東條健司さんは、「現場では、まず『何かしてほしいことはないですか』と声をかけてあげてほしい」と述べる。これまでの経験から、被災者の「心のケア」がもっとも重要だという。

同団体は、主に神戸の被災者宅を訪問し、支援活動を行ってきた。活動は週末が中心で会社員の参加も多い。営業マンなど高いコミュニケーション力を持った人が活躍している。

有給休暇を取って被災地に駆けつけて数日間、塩釜市界隈でマイカーに寝泊まりしながら支援した東京都在住の会社員男性は、次のように教えてくれた。

「高齢者が多いので、家財道具の整理や掃除を手伝うと喜ばれました。長靴、合羽、厚手の軍手があると重宝します。道路状況や交通、通信手段、食事の場所などの情報を出発前にしっかり掴んでおくことが大切です」

各県の社会福祉協議会がボランティアをコーディネートしている場合が多いので、避難所の住所、求められている活動内容、人数などの必要情報について、事前に電話やインターネットで確認しておくことを勧めたい。

大震災のボランティアに関するサイトを運営するNPO法人「神戸国際ハーモニーアイズ協会」の北角裕己さんは、「できれば個人ではなく、同僚や友人たちとグループで参加したほうがいい。現地の人と情報交換しやすくなり、作業効率が上がります」とアドバイスする。

現地へ行かずにできるボランティアもある。同団体の支援プロジェクト「TEAM KIZUNA」では、ブログやツイッター、フェイスブックなどで被災地の情報を発信しており、サイトの構築や編集に携わる人を募集している。専門的な知識が不要な仕事もあり、ネットに親しんでいる人なら活躍できるはずだ。

※すべて雑誌掲載当時