銀行預金については、通帳やキャッシュカード、印鑑を消失してしまったとしても、運転免許証や健康保険証など本人確認が取れる書類を持っていけば、店頭で預金を引き出せる。引き出し金額の上限は、大手銀行などは一口座あたり1日に10万円、ゆうちょ銀行は20万円。通帳や届け出印を持っていれば、口座残高の範囲内で、最高100万円まで引き出せる。
運転免許証など本人確認の取れる書類がまったくない場合は、個別に相談ということになるので、まずは近くの金融機関の窓口に相談することをお勧めする。
阪神・淡路大震災のときは、本人確認書類がなくても金融機関は引き出しに応じた。預金者の住所、電話番号、生年月日、最近の取引内容(いつ現金を引き出したか、何日に給料が振り込まれたのかといったこと)などを、顧客取引台帳と照らし合わせ、大きな食い違いがない限り、今回も引き出しは可能だ。
また、自宅に現金を置いたまま被災し、金庫ごと流されてしまったり、お金が燃えてしまったりというケースも多いようだ。
金庫が見つかったものの、中の現金が破損した場合は、お札の状態によって、戻ってくる金額が違ってくる。基本的には、残ったお札の面積が全体の5分の2以上、3分の2未満であれば、券種の半額が、そして3分の2以上であれば、全額が戻ってくる。ただし、5分の2未満であれば、残念ながら現金としての価値がゼロになってしまう。
水で濡れたお札は乾かして持ち込むこと。泥で汚れた場合も、水洗いし、乾かして持ち込んだほうが鑑定時間も短くて済む。
お札が燃えてしまった場合も諦めてはいけない。灰になったものも含めて、箱に入れるなどして、原型をできるだけ崩さないようにして持ち込めば、専門家が紙質やインクなどから券種を鑑定し、残ったお札の面積に応じて現金に交換してくれる。
なお、持ち込み先は原則として日本銀行の本・支店だが、特別措置により、最寄りの銀行でも引き換えに応じてくれる。
※すべて雑誌掲載当時