東日本大震災の被災者への支援の輪が広がっている。日本赤十字社が受け付けた義援金は、4月2日までで約980億円。中央共同募金会に寄せられた分も含めると1000億円を超えるまでになった。

「過去、最も多くの義援金が寄せられた阪神・淡路大震災の3倍以上のペースで集まっている」と日赤の企画広報室・杉山達哉氏は話す。だが、集まった義援金が被災者の手に届くまでには時間がかかりそうだ。

通常、日赤や中央共同募金会などに集まった義援金は、被災した都道府県が設置する「義援金配分委員会」に全額渡される。委員会は、日赤や市町村、報道機関などで構成され、分配対象や金額を検討し、被災者に配られるようにする。

阪神・淡路大震災では、最も甚大な被害を被った兵庫県が義援金配分委員会を設置。地震発生から約2週間後には、第一次配分として死亡・行方不明者の家族と住宅が損壊した世帯に10万円の見舞金を配っている。

また、新潟県中越地震では、新潟県が義援金配分委員会を設置し、委員会から被災市町村へ、さらに被災者へというルートで義援金が配られた。義援金の渡し方は、金融機関の口座振り込みのほか、現金で手渡すこともあり、ケースバイケースだ。

過去の例では、主な被災地が都道府県単位で区切れたため、義援金配分委員会を設置すべき自治体が明確だった。だが、東日本大震災は被災地が広範囲にわたっており、都道府県ごとに委員会を設置したらいいのか、あるいは被災地が合同で委員会を設置したらいいのかの判断が難しくなっているという。

また、甚大な被害を被ったことから救援活動で手いっぱいな自治体もある。被害が把握できない地域もあり、委員会設置の遅れに影響を及ぼしている。

杉山氏は「1日でも早く被災者に義援金を届けたいが、公平に配ることも重要。そのためには各自治体が被害の全容を知る必要があり、ある程度時間がかかることを理解してほしい」と話す。

日赤は義援金の受付期限を9月30日としているが、復興状況によっては、受付期間を延長することも考えている。

※すべて雑誌掲載当時