東京電力管内における計画停電は大きな混乱を招いた。暖房需要の減少で一息ついた感があるが、今後懸念されるのが夏場の電力不足である。

ピーク時にこれだけすれば停電回避も!?
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ピーク時にこれだけすれば停電回避も!?

過去10年間の東京電力管内のピーク電力需要は5500万~6000万キロワットである一方、火力発電所の復旧などを加味しても夏場に供給できる電力は最大5000万キロワット。つまり、夏のピーク時には500万~1000万キロワット不足する計算だ。

夏場には再び計画停電が実施される可能性が高い。これまでの節電努力でも数百万キロワットのピーク需要を抑制する効果があったと推定されているが、さらなる努力が必要となるだろう。

三菱総合研究所ではその方法を(1)電気の使用を抑える、(2)部屋を空ける・オフィスの使用を減らす、(3)ほかのエネルギーを使う、(4)消費パターンを変える、の4点にまとめている。

特に夏期ピーク時の電力消費は3分の1をエアコンが占め、これをいかに抑えるかが重要だ。

「エアコンの温度設定を上げるだけでなく、冷房する空間自体を減らすことが大事。たとえば関東・東北圏外に旅行したり、お祭りや花火大会などあまり電気を使用しないイベントに参加したり、むやみに我慢せず楽しみながら節電を行うとよいでしょう」(鈴木敦士主任研究員)

注意すべきは節電を効率的に行わないと「増電」になってしまうこと。せっかく家を空けても外出先でより多くのエネルギーを消費しては意味がない。冷房の抑制時は熱中症など健康面に配慮する必要もある。

電力供給は短期間で回復せず、何かあると停電になる状態は数年続くと予想される。だが、過度に自粛すれば個人消費の低迷で経済がますます停滞し、復興もおぼつかなくなる。

「こういうときこそ経済活動の維持が重要。みんなで賢い節電リテラシーを身につけて電力を効率的に使用しつつ、生産活動に電力が回るようにすることが大事です」(園山実主席研究員)

※すべて雑誌掲載当時