「ホテルが倒壊する」記者は覚悟した

今回の地震は、木造家屋に大きな被害を出しやすい周期1~2秒の揺れが強く、阪神大震災との共通点が多いとされている。では、東日本大震災と比べてどうなのか。震災直後、宮城県に取材に行った記者は語る。

「東日本大震災は、たしかに今回とは桁違いの死者を出しました。ですが、その大半は地震というよりも直後の津波による『溺死』。そのため、病院に運ばれる急患は少なく、逆に生き残った人はほとんど怪我もないような状態だったと聞いています。残念ながら、重症患者が多かった阪神大震災で学んだ救助の教訓はあまり生かせなかったようです。今回は大きな地震が間隔をあけて2度起こるなど、地震自体が特殊。油断して家に帰り、被災した人も多いのではないでしょうか」

特殊といえば、本震発生時にあれほどのメディアが現地にいた地震は過去に例がない。東京から撮影のために駆け付けた番組ディレクターは、16日の本震に巻き込まれた。

「15日の朝に福岡入りして、その後車で熊本へ。丸1日取材して、ホテルの部屋でデータ整理をしているときに地震が起きました。1階の部屋だったのに、壁がうねるようなすごい揺れで、ホテルが倒壊するかもしれないと、さすがに覚悟しましたね。揺れが収まって外に出ると、さっきまであった家が倒壊していたり、道が陥没していたり。正直、15日に現場入りしたときは『思ったより被害が小さいな』と感じていたのですが、改めて『これは大変なことだ』と思いましたよ」

20日現在も、行方不明者の捜索は続いている。断水による衛生環境の悪化や、食糧不足を訴える声も聞こえてくる。さらに19日になって、「エコノミークラス症候群」による死亡者も出るなど、地震の被害は今も広がっている。1日も早い復興を願うとともに、被害に遭われた方にお見舞い申し上げます。

(時事通信フォト=写真)
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