30年間で17回トップになったビル・ゲイツ

しかし、2008年秋に起きた「リーマンショック」の影響で、世界長者は軒並み資産額を減らした。ビル・ゲイツやウォーレン・バフェットも例外ではなく、減額差でビル・ゲイツが再び世界一を奪回したものの、ラテン・アメリカからダーク・ホースが現れた。2010年~2013年までの4年間、ビリオネアのトップの座を占めたカルロス・スリムだ。

カルロス・スリムの勢いを見て「ビル・ゲイツも、もはやこれまでか」と思った人も多かったが、ビル・ゲイツは違っていた。2014年に再びトップ奪還を果たすと、今年まで3年連続でトップに君臨し続け、その勢いはとどまるところを知らない。

『「世界の大富豪」成功の法則』(城島明彦著・プレジデント社)

過去30年間のビリオネアランキングでトップに輝いた「世界の大富豪」は、何人いるのかというと、たった5人しかいない。彼らを「ビリオネア・オブ・ビリオネアズ」と呼ぶなら、その玉座に座るのはビル・ゲイツである。トップを取った回数は、(1)ビル・ゲイツ17回、(2)堤義明6回、(3)カルロス・スリム4回、(4)森泰吉郎2回、(5)ウォーレン・バフェット1回で、他を圧している。

堤義明や森泰吉郎は、未曽有の地価高騰をもたらした「バブル期」という特殊な時代に咲いた“あだ花”として世界史にその名を刻んだといえる。

ウォーレン・バフェットは、「投資の神様」という異名からリスクを好むように思う人もいるかもしれないが、実際には「石橋を叩いて渡る手堅い投資戦略」に徹しており、バクチ的な「投機」とは無縁の人。「着実な投資」しか行わず、「ローリスク・ハイリターン」という理想的成果を上げ続けてきたので、「オハマの賢人」とも呼ばれている。手堅さはランキングからもわかる。2000年以降、最低でも4位。5位以下になったことがなく、親子ほど年が違うビル・ゲイツ夫妻の財団に巨額の寄付をしたことでも知られる。

ビル・ゲイツ、カルロス・スリム、ウォーレン・バフェットの3人による10数年にわたる資産額および順位の比較など、ビリオネアの詳細については、拙著『世界の大富豪「成功の法則」』(プレジデント社)に詳しく書いたので、ここでは割愛する。