ビリオネアランキングは「時代を映す鏡」
米経済誌「フォーブス」が毎年1回発表する10億ドル以上の資産を持つ大富豪「ビリオネアランキング」(世界長者番付)は、時代を映す鏡として、今や世界の恒例行事となった感がある。今年は、昨年より少し早い3月1日に発表し、各国のメディアが競うようにビル・ゲイツがトップだったことなどを伝え、日本でも大手新聞はもとよりNHKテレビまで報道した。
「石の上にも3年」というが、フォーブス誌の「ビリオネアランキング」は今年で30回を数える。つまり、1987年から始まったわけで、四半世紀を優に超える定点観測的データの蓄積としての価値が高いが、その記念すべき第1回のトップを飾ったのは日本人で、しかも、以後1994年までの8年間にわたって日本人がトップに君臨し続けたという事実を知らない若い世代が増えている。
ビリオネアランキングのトップに輝いた日本人は、第1回~第4回までが堤義明(西武鉄道グループの元オーナー)で、第5回と第6回は森泰吉郎(森ビル創業者)に代わったが、第7回・第8回では堤義明がトップを奪還。1987年~1994年はバブル経済を背景にした「日本の時代」だったのだ。堤義明や森泰吉は、地価狂騰と軌を一にし、「バブル崩壊」とともにビリオネアランキングの世界一の座から滑り落ちた。彼らにとって代わったのが、世界戦略商品「Windows95」を引っ下げて登場したマイクロソフト創業者のビル・ゲイツである。
1995年にビリオネアのトップに躍り出たビル・ゲイツは、「Windowsシリーズ」の爆発的売り上げに連動する形で、以後2007年までの13年間、トップの座を定位置とし、「もはや不動か」と思われたビル・ゲイツだったが、翌2008年に「投資の神様」ウォーレン・バフェット(投資持株会社バークシャー・ハサウェイ会長兼CEO)にトップを奪われた。