「ほぼオール5」の秘密はノートにあり

白井健三選手(日本体育大学・19歳)。

体操ニッポンのエース、内村航平選手(中央)も一目置く存在に成長した白井健三選手(左)。

2013年10月、17歳で初出場した世界選手権で新技を3つも披露し、世界を驚かせた期待の星だ。先日は、新技「シライ3」(後方伸身2回宙返り3回ひねり)が最高のH難度認定されたが、彼は体操だけでなく勉強においても非凡な才能を発揮していた。毎日、厳しい練習メニューをこなしながら、勉強もしっかりやって、中学・高校と成績はほぼオール5だったというのだ。

健三選手の父親で、体操指導者でもある鶴見ジュニア体操クラブ代表・白井勝晃さんは次のように話す。

「学校から帰ると、毎日、体操の練習を6時間やります。その疲れた体を休めて回復させるために、6時間は寝るようにと言っていましたから、勉強できる時間は、帰宅後の夜10時半~1時までの2時間半くらい。その短い時間で成果を上げるために、健三は勉強法を工夫していました」

この方法が、非常に合理的なのだ。

まず、ノートの取り方。授業中に健三選手は先生の板書をただ書き写すだけでなく、問題化して書くようにしていたという。

「先生の話を聞きながら、テストではどういう問題が出されるか想像して、Q&A方式でノートをまとめていました。さらに、答えは赤い下敷きをかぶせると消えて見えなくなるよう、赤いペンで書いていました。あとから、暗記しやすいようにするためです」(同)

受け身で聞いていないから授業を聞く態度はダレない。集中力は頭抜けている。授業中、先生の板書をノートに写すだけなら、はっきり言ってボーっとしながらもできてしまう。しかし、「どういう問題になるかな?」と考えていれば、頭はフル回転しているし、内容も刻まれる。そして、授業が終わるときには「問題集」ができあがり、暗記用にカードを整理したりする時間が不要となる。一石二鳥の方法なのだ。