作家
大岡玲さん

1958年、東京都生まれ。父は詩人の大岡信。東京外国語大学在学中に本格的に小説を書き始め、87年『緑なす眠りの丘を』で作家デビュー。89年、2作目の作品『黄昏のストーム・シーディング』で三島由紀夫賞、90年には『表層生活』で芥川賞をそれぞれ受賞する。美術にも造詣が深く、NHK『日曜美術館』の司会もつとめたことがある。趣味は釣り。現在、東京経済大学教授、同大学図書館長も兼任する。最新作に『たすけて、おとうさん』(平凡社)。
 

今の季節ですと、食いしん坊の楽しみは、なんといってもジビエでしょう。そこで、東西の珠玉の2店をご紹介します。両店とも日本の誇る四季と自然の恵みを味わわせてくれる名店で、シェフの優れた技術の向こうに、食材の持つ生命の息吹を感じるんです。ふたりとも自ら解体からするのですが、部位ごとにその魅力を生かして、すべて余すところなく使う。

『パッソ ア パッソ』の有馬邦明さんも、『徳山鮓』の徳山浩明さんもお話が上手でして、知識や経験も豊富ですが、話がまったく押し付けがましくなく、経験を交えてその食材の魅力を産地の自然や歴史から話してくれるので、味わうときのイメージが増すんです。