不動の稲盛人気、凋落の東芝

毎年恒例のプレジデント誌読者アンケート。現役ベスト経営者1位は稲盛和夫氏、2位孫正義氏と、ともに4年連続を果たした。3位の豊田章男氏は、2014年の6位から大幅にランクアップ。3年連続で自動車販売台数世界一を達成した実績に加え、リコール、役員の逮捕など、度重なる問題への対応と、そこからの回復が評価されたのだろう。

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故人・引退ベスト経営者との対比も興味深い。経営コンサルタントの小宮一慶氏は「ワースト経営者2位に『東芝歴代社長』が入り、印象に残った出来事2位には『東芝の不正会計問題』が挙げられています。目先の業績のために不正に手を染め、東芝ブランドは失墜してしまったということです。ですが、故人・引退ベスト経営者4位に『めざしの土光さん』で知られる土光敏夫氏がランクインしているのは東芝にとっての救い。今こそ、質素倹約を旨とし、徹底的な合理化で経営再建を成し遂げた土光氏を見習ってほしい」と語る。

いっぽう、注目の女性経営者については「まだまだ分母が不足している」(小宮氏)と言わざるをえない。2位の大塚久美子氏は大塚家具のお家騒動で、5位のサラ・カサノバ氏は15年1月のマクドナルド異物混入問題の謝罪会見に登壇しなかったことや、業績不振が注目された。経営手腕に注目しているというより「名前を知っている」という意味合いも強そうだ。

働きたい会社1位のグーグル、2位のトヨタ自動車のツートップは6年連続。揺るぎない人気を見せつけた。一見、給料が高い企業が並んでいるかのようにも見えるが、実は職場環境自慢の企業ばかりである。社員が生き生きと働いている企業かは、外の世界から見ても一目瞭然ということだろう。