「ノー」という人物に対処する方法

聞き手の中に「ノー」を見つけたとき一番いい方法は、その人物を視界から外すことにつきる。そんな人にとらわれずに、誰かしら好意的な人物を会場内の3カ所に見つけて、その人たちだけを見るほうがずっと有意義に働くだろう。うなずいてくれる人を見るにつれて自然と自分の話に自信が持てるようになり、リラックスした雰囲気を醸し出せるようになる。同調したムードをつくるために、自分のペースを乱されないように心がけたい。そして、相手が少人数で近くにいるなら、一度話題をそらしてみるのも手となる。

「ノーという人物を説得することから始めるよりも、イエスの人たちを見ているほうがずっといい雰囲気で話ができるだろう」

さらには緊張をワクワクと高揚した気持ちに変えて力にすること。そのためには、「よしいける」と声に出してみるだけでも、驚くほどのパワーが出る。スポーツ選手が試合の前に大きな声で掛け声をかけるのが、この原理によるものだ。そして、以前に紹介したように体を大きく開くだけでも、自信がみなぎる物質が出ることは証明されている。

こうした一連の行為は一見簡単なことながら、プレゼンをするとき、話をするときに見直してみるだけで、大きく人を惹きつける効果が生まれるもの。まとめてみると以下のような内容になる。

1.すぐに話さない
2.聞き手のメリットになる話をする
3.ひとりひとりとアイコンタクト
4.とにかくゆっくり話す
5.「ノー」という人を気にしない
6.緊張をワクワク感に変える

とても簡単なことばかりだが、いざ話し始めるとなかなか思うようにはいかないものだ。

そして最後に大切なのは……、7.「(ご清聴)ありがとうございました」の言葉だ。

ジョブズもThank you very very much.(本当にありがとう)、Thank you so much. (心からありがとうございます)といった最上級のThank youを最後の言葉としている。拍手をもらったら、それに応えること。もらった時間にお礼をすること。感謝を示し相手を尊重すること。これだけのことが最後の印象を整えて、そこまでの話をさらに底上げしてくれるものだ。

[脚注・参考資料]
Entrepreneur, 7 Powerful Public Speaking Tips From One of the Most-Watched TED Talks Speakers

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