日産自動車の2015年度上半期連結決算は売上高、利益とも過去最高を更新したが、国内は新車販売の落ち込みで大苦戦。シェアもトヨタ、スズキ、ホンダの後塵を拝して4番目。国内営業の立て直しに取り組むのが、4月に日産初の女性専務執行役員に就任した星野朝子氏。カルロス・ゴーン社長から「わが社の秘密兵器」と言われ、信頼は厚い。市場調査会社の主任研究員だった13年前、日産から依頼を受けてコンサルティングの調査レポートを作成してゴーン社長に報告。その飛び抜けた分析力に“ひと目惚れ”したゴーン社長に、その場で口説き落とされて転職を決意した。大学では計量経済学を専攻し、最初に就職した銀行では国際金融部に配属。キャリアを積むために海外駐在を希望したが「女性は難しい」とあしらわれた。意欲を削がれて退社、その後米国の大学院でMBA(経営学修士)を取得。

日産自動車専務執行役員 星野朝子(読売新聞/AFLO=写真)

国内では断トツのトヨタを除き、2位以下の4社が団子状態。その中で日産は「明確な2番手」を狙う。だが、負けず嫌いな星野氏は、絞られた分野で1位になることを強調。「EV(電気自動車)などの電動化分野と自動運転などの知能化分野で一番になる」と意気込む。新車開発のための市場調査などの業務には長く携わったが、営業は未経験。全国2100店舗の販売店には「時間がある限り足を運び、現場の声をくみ上げながらハード面、ソフト面の改善に信念をもって取り組みたい」と意欲を示す。日産で「最も活躍する女性」の道のりは平たんではない。

 
日産自動車専務執行役員 星野朝子(ほしの・あさこ)
1960年生まれ。慶應義塾大学卒業後、日本債券信用銀行(現あおぞら銀行)入行。社会調査研究所(現インテージ)を経て、2002年日産自動車入社。15年4月から専務執行役員。
(写真=読売新聞/AFLO)
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