まだまだ続くハードワーク
平林さんの心は日本ラグビー界の発展にのみ向けられている。2007年W杯、11年W杯とも、W杯のレフリーとなるチャンスを持ちながら、母国代表チームがティア2(ティア1=上位10カ国=に次ぐグループ)という理由でW杯の舞台で笛を吹く夢は実現できなかった。だから、レフリーもコーチもステータスを高めるためには、代表チームの躍進が重要なのだった。
今回のジャパンの躍進の陰には多くの人の熱意と貢献が隠されている。つまりは、その国の「総合力」がW杯では試されたのである。平林さんはコトバを足す。
「2019年W杯に向け、日本ラグビー界は今回と同じようなハードワークを続けていかなければならないでしょう」
そうなのだ。さらに4年。今回を成功事例とし、こういったレフリー対策ほか支援体制のさらなる強化が求められることになる。
松瀬 学(まつせ・まなぶ)●ノンフィクションライター。1960年、長崎県生まれ。早稲田大学ではラグビー部に所属。83年、同大卒業後、共同通信社に入社。運動部記者として、プロ野球、大相撲、オリンピックなどの取材を担当。96年から4年間はニューヨーク勤務。02年に同社退社後、ノンフィクション作家に。日本文藝家協会会員。著書に『汚れた金メダル』(文藝春秋)、『なぜ東京五輪招致は成功したのか?』(扶桑社新書)、『一流コーチのコトバ』(プレジデント社)など多数。2015年4月より、早稲田大学大学院修士課程に在学中。