予算のないことをポジティブに転換しているのは、陸上トラック部分だけではありません。

LCC利用者の「コストを抑えていい旅をしたい」という意識に沿うような、ローコストで快適なソファやテーブルはMUJIの製品です。日本ブランドのインテリアを空港に使うことは、日本の魅力を世界に発信する「クールジャパン」の推進にもつながる。インテリアの監修者にはデザイナーの深澤直人さんを迎え、開港と同時に一般発売して話題を集めました。

運動の楽しさを地味に表現しているのが、給水所と呼ばれる休憩所です。第2ターミナルと第3ターミナルをつなぐ連絡通路のちょうど半分あたりに設置されています。この休憩所の見た目は、自動販売機とベンチを置いただけの何てことないスペース。ただ、歩行距離が1キロメートルもあればジュースくらい飲みたくなるはずだと気を利かせ、利用者の満足度を高めました。

海外も注目する“陸上トラック”

2015年4月8日にオープン。イギリスの雑誌「MONOCLE」のTransport Survey 2015(交通、移動、乗り物のイノベーションに関するグローバル調査)でベスト25に選ばれる。予算を抑えるために、空港ターミナル内にはターポリンにライトを照らすことで光る案内板を採用した。

 
伊藤直樹(クリエイティブディレクター)
1971年、静岡県生まれ。ADK、GT、ワイデン+ケネディ トウキョウ代表を経て、2011年クリエイティブラボPARTYを設立。これまでにカンヌ、ACCをはじめ国内外の200以上に及ぶ広告賞・デザイン賞を受賞。そのほか経済産業省クールジャパンプロジェクトのクリエイティブディレクター(2011)など。