大人が球児に学ぶ、「人生の教訓」3
▼大人が球児に学ぶ、「人生の教訓」
●不屈の闘志
大谷に0-8で負けていた星稜が9回に9-8と引っくり返した試合を含め、大逆転劇のほとんどは、その回のトップバッターが出塁することで達成される。「絶対に塁に出る」という執念によって、攻めの姿勢を貫いたり、ファウルで何球も粘ったりする。すると、その気迫に押され、相手投手は根負けして四球などを出したり、野手が失策したりと、自滅気味になることも少なくない。
スポーツだけでなく、人生も仕事も、いつ何が起こるかわからない。仮に、現在は劣勢でも、気持ちを切らずに辛抱し、小さなステップ小さなリズムを刻んで前に進むこと。ブレイクスルーはそこから生まれる。
●仲間につなぐ
出塁した前の選手に続き、さらに後の選手につなごうという意識がチームに相乗効果をもたらす。塁が走者で埋まり、点数が積み重なると、余裕たっぷりだったはずの相手も動揺し、パニック状態となる。気づけば、まだ負けているのに精神的に優位に立ち、見事、ゲームを引っくり返すことに成功できる。
得点する準備(野球でいえば、スコアリングポジションに走者を送る)ことで、自分たちのチームは勢いづき、相手にはプレッシャーを与えることができる。いつでも勝負できる準備をしておくことが、「逆襲」のコツだ。
●思い切り打つ
中途半端なプレーは悔いを残す。奇跡的な逆転をするチームの選手たちは、打席でバットをしっかり振り切る。極めて思い切りがいい。だから、クリーンヒットでなくても、ボールが内野手と外野手の間に落ちるポテンヒットになったり、打球の勢いによってボールがイレギュラーバウンドして幸運なヒットになったりする。仕事や人生においても、ハンパはだめなのだ。
最後にその「入魂の一撃弾」のことを。
甲子園の決勝。6-6で迎えた9回表の東海大相模の攻撃。決勝点は、相模の左腕エース・小笠原慎之介投手自らがたたき出した。9回の先頭打者として打席に立ち、初球を右翼席に運んだのだ。チームは勢いづき、その後、さらに3点を追加した。
育英の佐々木順一朗監督の証言。
「小笠原君は思い切りバットを振るバッター。そこに初球、甘く高めに抜けたフォークボールが行ってしまった……」
仕事も人生も半端ではなく、思い切り振りきろうではないか。
参考資料:新聞各紙、各webサイト、TBS系「バース・デイ」