悔しい思いを糧に、組織は成長した
絵にかいたようなリベンジだが、大谷の諦めない気持ちと、先輩から託された思いがこの4点に詰まっている。
大谷にとって去年の屈辱的な負けがモチベーションなのだ。当時の新聞記事のパネルをベンチに置き、部室の入り口のボードにはスコアが書き込まれている。
西野貴裕監督が言う。「うちの宝です」。
西野にとって去年の敗戦は悔いが残っている。
「(ピンチを迎えたマウンド上の投手などに助言する)伝令は使い果たし、向こうの勢いの中、投手交代もできなかった。泣き崩れる選手に何もできなかった。眺めるだけでした。もう、2度とあんな経験はしたくない」
失敗は成功の基、と言うが、屈辱や悔しい体験や悪夢をいかに次の機会に生かせるか。そこが大事なところだ。
「まだ負けたわけじゃない。うちが逆転する番だ。あの悔しさをぶつけるのは自分達しかできない」
今年の逆転劇、こうチームを鼓舞して、突破口を切り開いたのは主将の下口だった。
慎重になった相手投手は連続の四死球をだし、その後、連打が生まれたのだ。
ただ残念ながら、大谷は星稜には勝ったものの、次の準決勝で敗れ、甲子園には届かなかった。
西野監督は最後に選手に言った。
「去年、さんざん言われたけど、今年は最後までやりきってくれたかなと思う。最後まで勝たしてやれなくてすまん。これを受け入れて、これからの自分の一歩にして欲しいと思う」