医局員は週1~2回は自由な時間を持つ

私自身も、大学病院の副院長として、若い人たちが子育てをしながら働き続けられるような環境を整えたいと考えています。最近は女性医師も増えていますし、看護師、管理栄養士、薬剤師、リハビリ職種、ソーシャルワーカー、事務職など、病院は女性の多い職場です。順天堂大学医学部附属順天堂医院のあるエリアは、東京医科歯科大学医学部附属病院をはじめ、病院の多い地域でもあるので、共同で保育施設を運営できないかなど具体的に検討しています。病院を辞めたOB、OGの人たちにパートで働いてもらい、後輩を助けるようなものが作れればよいのではないでしょうか。

男女を問わず、医師の仕事は、目の前の目標を達成したらまた次の目標をクリアするために努力してステップアップしていく必要があります。ビジネスの社会でもそうかもしれませんが、医師として成長しながら、その傍らで子育てもするのはなかなか難しい面があります。上手に時間を使わないと、昼も夜も休日も仕事に没頭してしまうことがあるので、私の医局では医局員が、完全に週1~2日は、プライベートな時間を持てるようにしています。

女性医師だけではなく、男性医師も、プライベートな時間が取れるようになると、出会いの場も広がりますし、病院ではない場所で人生の経験が積めて、長い目でみると医療を実践するうえでも役立つからです。残念ながら、仕事もイマイチで、プライベートも充実させられない、どっちつかずの若者も多いのが現状です。医学教育はカルキュラムが窮屈で、医学生の頃から忙しいので、他の学部の学生や他職種の人たちと交流や巡り合いの場がないのも問題です。

医学教育に携わる立場としては、将来ビジョンを見据えられ、社会に貢献できる若者を増やしたいと思います。子どもや若者の人数が増えないと、そういった人材も増えません。高齢者の手術をたくさんしているからかもしれませんが、このまま高齢者ばかりになったらどうなるのだろうという強迫観念みたいなものがあります。