プレモルのさらに上スーパープレミアム

もうひとつの看板商品、ザ・プレミアム・モルツはどうか。

ハレの日のビールとして定着したザ・プレミアム・モルツは、金麦とは価格帯も飲用シーンも異なる。違うカテゴリーの商品が2つあることで、「現場の営業も違う切り口で提案しやすく、お取引先様からもどんどん提案を持ってきてほしいと言っていただけます」(林氏)。

これまで「5大催事」とされてきた、ゴールデンウィーク、父の日、お盆、クリスマス、年末に加え、母の日、シルバーウィーク、ハロウィンといった新しいハレの日を定着させようとしている。

金麦、ザ・プレミアム・モルツの二枚看板に引き続き、サントリーの野心が垣間見えるのが、今年3月に発売した「マスターズドリーム」だ。ザ・プレミアム・モルツよりも高額な「スーパープレミアム」という位置づけだが、3~6月累計で販売数は27万ケースとなり、年間発売計画を0.6倍に上方修正した。

(左)サントリービール商品開発研究部開発主任の丸橋太一氏。マスターズドリームのプロジェクト開始から携わる。(右)サントリー酒類広域営業本部部長の林正人氏。

商品開発研究部が念頭に置いたのは、チェコでのビールの飲まれ方だ。ビール片手に人が集まり、ずっとビールを飲みながら、幸せそうにしている。丸橋太一開発主任は、飲み飽きない味が必要だと考えた。希少なダイヤモンド麦芽という種に目をつけるが、扱いが難しく、試行錯誤を重ねた。古来からの銅釜を試していたときに、銅とふれ合うことで、よりよい味わいを引き出すことに成功したため、専用の装置を開発した。

プロジェクトのスタートは06年。気付けば10年近くが経過し、設備投資額は10億円。

「今回の開発はマーケティングから切り離して、醸造担当がとにかく夢を追ったというかたちでした。よくここまでやらせてもらえたなというのが率直な感想です」(丸橋氏)

サントリーの目標とするシェアは20年までに20%。スーパープレミアム市場を見事開拓し、さらなる飛躍の一助となるか。