特許戦争[コラム:ビールウォーズ最前線]
今年1月、サントリーホールディングスがアサヒビールのノンアルコールビール「ドライゼロ」を特許権侵害で提訴した。
サントリーは、エキス分、pH、糖質量の組み合わせを特許として申請し、13年に認められ、そこから水面下での話し合いが続くも平行線をたどり今に至る。
「裁判を通じて、特許庁に認められた当該特許権を守るため、当社の正当性を主張していくことで、当社の知的財産を守っていく」とサントリー広報部は語る。
対するアサヒは、サントリーの特許内容は既存の製品から容易に作り出せるものであると反論している。
「そのために特許権の侵害には当たらないと考えています。必要に応じて、特許庁に対し、特許無効審判を請求するつもりもあります」(アサヒビール・小路社長)
ノンアルビール市場は、ビール系飲料市場の20分の1以下の規模だが、ビール類では数少ない成長市場であり、酒税がかからないため利幅が大きいのも魅力的だ。
アサヒはもともとノンアルビール市場では最後発でシェア2%と苦戦していたが、12年発売のドライゼロで猛追。14年は前年比16.7%増で販売数630万ケースと伸長、シェアは2位だ。
対するサントリーのオールフリーは10年に発売し、現在まで4年連続で販売数トップ。昨年は前年比4%増で720万ケースを販売した。
特許戦争から目が離せない。
(村上庄吾=撮影 PIXTA=写真)