ユーザーの娯楽すべてが競争相手になる
インターネットテレビが、日本のテレビ業界を衰退に追い込む――。近い将来、そんな日がくるかもしれない。
世界50カ国に6200万人以上の会員を持つ有料動画配信の世界最大手「ネットフリックス」が今秋、日本でサービスを開始する。無料のテレビ放送が定着している日本で、有料動画ビジネスをどのように展開、拡大していくのか。日本法人代表のグレッグ・ピーターズに聞いた。
──日本で活動を始めたのは2009年。なぜ6年も準備期間を置いたのか。
サービスを提供する前に、環境を整える必要があった。すなわち、テレビメーカーとの技術的統合だ。担当者がソニーや東芝などと交渉を続け、リモコンにネットフリックス専用ボタンが搭載された製品を開発してもらった。昨年、青山にオフィスを構え、ようやく準備が整った。
──日本では、動画は無料という意識が強い。そこをどう乗り越えるか。
日本人は価値のあるものには対価を払う人たちだと確信している。だから我々は、提供するコンテンツが価値あるものだと皆さんに伝える必要がある。ネットフリックスでしか観られない、しかしどうしても観たいと思ってもらえるコンテンツを我々は提供できる。
──テレビ番組やユーチューブなどほかの動画サービスとの違いは何か。
大きく4つある。まず我々が独自に制作したオリジナルコンテンツ。『ハウス・オブ・カード』『センス・エイト』など、クオリティが高く、ほかの動画サービスでは視聴することはできないドラマだ。我々が独占ライセンス契約を結んだ作品もほかでは観られない。
2つ目は、4Kなどの高画質コンテンツ。日本ではまだほとんど対応コンテンツが配信されておらず、ネットフリックスは4Kで技術的な強みがある。
3つ目は、視聴者の嗜好に合わせて、オススメのコンテンツを提示できることだ。視聴者の受信状況(ビッグデータ)を解析し、どんなジャンルを好んでいるのかを把握し、それに合わせた動画カタログを提供できる。
最後は、いつでもどこでも、広告に煩わされず、自由に観ることができることだ。つまり、視聴者が動画の楽しみ方をコントロールできる。