政府は地方創生実現のために「日本再興戦略」を策定している。その一環としてカード決済や電子マネー利用などのキャッシュレス決済の普及が盛り込まれる。地方自治体が導入するプレミアム商品券などの施策に合わせ、国内クレジットカード大手のJCBは社内に「地方創生支援室」を創設。浜川一郎社長に現状と展望を聞いた。
――今年七月に地方創生支援室を立ち上げた狙いは。
【浜川】当社には、フランチャイズ契約している地域金融機関あるいは系列のカード会社が全国に82ある。「支援室」が核となって、地方銀行などと一緒になって自治体に対しキャッシュレス化を促進するスキームの提案をしていきたいと考えている。
――日本のキャッシュレス決済の推移はどうか。
【浜川】クレジットカードの決済額は、経済産業省の統計によると2014年度は前年度比7.2%伸びた。昨春の消費税引き上げ以降、個人消費が伸び悩む中で、これまで現金決済していた人がカード決済に変わってきている。一方で現在の日本の民間消費のうち、カード決済の比率は約14%。50%を超える欧米などと比べると低い水準にある。さらに、国内でも都市部に比べ、地方は現金決済がまだまだ主流だ。国の施策と連動してキャッシュレス化をさらに進めたい。
――近年、購入時に代金が預金口座から即座に引き落とされるデビットカードの発行が増えている。
【浜川】デビットカードは現金を持ち歩く必要がなく、口座の残高までしか使えないため、支払いまでの期間があくクレジット決済に不安を持っていた人も抵抗なく利用できる。当社は現在、千葉、大垣共立、北洋、楽天の4行と提携し、発行している。4行合わせて現在10万人以上の会員がいるが、クレジットカードと比べると高齢者や主婦、学生を中心とした若い層の発行が目立つ。これまで収入が限られ、クレジットカードを持てなかった人が持つことができるのが利点だ。特に高齢者にとって、現金を持たないことは利便性や安全性の面でメリットがあると考えている。