――キャッシュレス化が地方経済に与える効果は。

【浜川】従来の公的地方振興策では、紙の券の類いを配るケースが多かったが、それだと一度しか使えないうえに、金融機関で集計するなどの手間が伴う。カードであれば続けて使えるし、商品券などの代わりに配られることによって、地元店舗でのキャッシュレス決済も広まる。今年初めに、千葉市のプレミアム商品券の一部を千葉銀行から運営を受託して、デビットカードで発行した。カードで決済することでプレミアム分がキャッシュバックされる仕組みだが、この仕組みを使えば何をいつ買ったかといった購買情報も蓄積でき、その後の施策につなげることができる。

――さらにキャッシュレス決済を浸透させる施策は。

【浜川】近年、地方の地元小売店でカード決済をすると特典がある「エリアカード」の導入が進んでいる。地方の百貨店や商店街のカードで買い物をすると通常のポイントに加え、追加でポイントが付与される仕組みだ。キャッシュレス決済を使って、地産地消型の促進策を提案していきたい。

――地方の訪日外国人客の呼び込みにも一役買えるか。

【浜川】訪日外国人は日本人以上にカード決済に慣れているので、まずはインフラの整備を進める必要がある。カード決済端末の普及に加えて、免税対応端末の普及も大事になってくる。現在は商工会議所や商店街といった単位で普及を促進している。今後もキャッシュレス決済の促進に協力していきたい。

ジェーシービー代表取締役兼執行役員社長 浜川一郎
1956年、京都府生まれ。78年京都大学経済学部卒業後、三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行。2006年三菱東京UFJ銀行執行役員、09年常務執行役員、11年三菱UFJフィナンシャル・グループ常務執行役員、12年同社専務取締役を経て14年より現職。
(菊地正憲=構成 的野弘路=撮影)
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