損保ジャパン日本興亜(SOMPO)ホールディングスは2015年12月にワタミの介護を子会社化。さらに介護事業大手メッセージのTOB(株式公開買い付け)を実施し、介護業界2位に躍り出る見込みだ。慢性的な人材不足を抱える介護業界は、大手企業の参入で変わるのか。ワタミの介護から社名を改めたSOMPOケアネクストの遠藤健社長に展望を聞いた。
教育と待遇の向上でスタッフの意欲に応える
──介護事業に参入した狙いは。
【遠藤】第1に、「安心・安全・健康に資する最高品質のサービス」提供というSOMPOホールディングスの経営理念に一致すること。第2に、損保事業は手続きや事故のときにしかお客様との接点がないが、介護事業は365日、24時間お客様と接点が持てるサービスであること。第3に、25年には団塊の世代が後期高齢者となり、介護は社会的な問題になる。その解決に貢献したいと考えて参入した。
──保険事業と介護事業との間に接点はなさそうに見えるが。
【遠藤】保険事業では、お客様の声を吸い上げて事業に活かすことに力を入れてきた。その姿勢は介護事業にも通用するはずだ。また、損保にはリスクマネジメントのノウハウがあり、介護事業における入居者の事故防止に役立てることができる。さらに損保も介護も、専門性を持った社員の複合体によって対応するという運営上の共通面もある。現場を回ってみて、損保との親和性は高いと実感している。