昨年12月、国内最大の信託銀行である三井住友信託銀行は、米シティグループからクレジットカード「ダイナースクラブ」の日本における独占発行権を取得した。同カードを運営する三井住友トラストクラブの野原幸二社長に、富裕層向けカードビジネス市場の現状について聞いた。

入会基準の厳しいハイクラスカードが増加

──ダイナースクラブ買収の目的は?

【野原】シナジー効果の高さだ。三井住友信託銀行とダイナースクラブ、どちらのお客様も富裕層であり親和性は高いが、じつは顧客はあまり重なっていない。

三井住友トラストクラブ社長 野原幸二氏

三井住友信託銀行は、預貯金やローンに加えて資産運用や相続、事業継承といった業務を行う。そのため複数の不動産を保有する資産家や、大手企業の役員の方などが多く、年齢は50代以上が多くなっている。

一方、ダイナースカードを発行する三井住友トラストクラブの会員は、中小企業のオーナー、医師、弁護士といった富裕層が多く、年齢は30代から50代が中心。国内で74万人の会員がいる。

信託銀行とダイナースクラブがお互いの顧客に対し、付加価値の高いサービスを提供することで、新規の顧客を取り込むことが可能だと考えた。2020年を目処に、会員を100万人に増やす目標だ。