次に図を見ていただきたい。これは小学6年生の「平行四辺形の面積」に関する問題だ。単純な「面積を求める問題」だと正答率が85%に達している調査結果もある。ところが、この問題のように出題方法を変えるだけで、正答率はなんと約18%にまで下がってしまう。そして約3割の生徒が、中央公園の面積を「70×160」と計算してしまうという。なぜか――。

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単純そうな問題に見えて小学生の正答率は18%

子どもたちの日常の勉強では、解決に必要な情報があからさまに与えられている場合がほとんどで、幾多の条件のなかから「必要な情報を探し出す習慣」が身についていないからだ。言い換えると「目についた情報だけを機械的に処理するだけ」で何とかなる勉強に終始しているのだ。まさに勉強の本質がわかっていないということだ。

私はこの傾向に対する解決方法として、家庭で親が子どもの勉強を見るときには、単に答えの「正誤」だけをチェックするのではなく、「なぜそうなったのか」と“考えた跡”を残し、改めて自問自答できるような習慣づくりを勧めている。「勉強」を「仕事」に、親を上司、子を部下に置き換えれば、ビジネスシーンにもあてはまるケースが想像できることだろう。

ちなみに問題の正解は「東公園のほうが広い」。東公園の面積は「110×100=11,000平方メートル」、中央公園は「70×150=10,500平方メートル」となるからである。

(構成=田之上 信)
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