ヒントはある2人の関係性に注目

ここで例題にチャレンジしてみてほしい。「判断推理」という公務員試験などで出題されるものである。大事な点は、確実なこと、明らかなことは何かを見極められるか否かだ。それが見極められないと、漫然とああでもない、こうでもないと試行錯誤することになり、迷走したあげく、最後は諦めてしまう。

まずは「復元ポイント」を見極め、そこから仮説を立てて検証していくことが肝要だ。仕事でも優先順位や情報の見極めをせずにいきなり始めると、時間ばかりかかって効率が悪い。

この問題の復元ポイントは、AとCの関係性にある。AとCは対立し、互いに否定している。「5人のうち本当のことをいっているのは1人だから、どちらかがウソをつき、どちらかが本当のことをいっているはずだ」と考える。そのうえで推論していく。行き詰まったらそこに戻ればいいわけだ。

仮にAが本当だとすると、Cが最後になる。するとDも正しくなり、AとDの両方が本当になり矛盾する。だからAはウソをついているとわかる。そうすると、Cが本当だということになる。「復元ポイント」に立ち返れる人は、失敗を糧にし、成長できる。これは算数・数学で必要とされる資質と同じだ。つまり「数学思考」はビジネスで役立つのだ。

参考文献:秋田洋和著『仕事の9割は数学思考でうまくいく』

(構成=田之上 信 写真=PIXTA)
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