勉強でも仕事でも、失敗は誰にでもある。大切なのは、その後のリカバリーだ。算数・数学で小中学生が計算などを「やり直す」とき、その過程は大きく2通りに分かれる。一つは、途中まで合っているのに、何もかも全部消して最初から取り組むタイプ。もう一つは、間違えた原因を探し出し、そこから解き直すタイプ。

いうまでもなく、前者はたいてい算数・数学のできがよくない。理由は簡単で、自分が間違えた原因を把握・分析しないからである。また同じ失敗を繰り返す可能性が高く、成長につながらないのだ。後者は、弱点を克服するための対策が取れることで、成績も徐々に伸びていく。

ビジネスも同じだろう。あるプロジェクトが途中で行き詰まったときに、イチからやり直すのか、問題個所を見つけ出し、そこから修復し直すのか。それによって、スピードが大きく違ってくる。ビジネスでは限られた時間で成果を上げなければならない。ムダな時間の使い方は極力避けるべきだ。よく「失敗したときには原点に立ち返れ」といわれるが、それは「最初からやり直せ」という意味ではない。「失敗した原因・タイミングに目を向けろ」ということなのだ。

その戻るべき地点を私は「復元ポイント」と呼んでいる。「復元」という言葉は、何度戻ってもそこからやり直せばいいという意味からきている。「確実にここまでは正しい過程をたどっていた」という地点だ。たとえば登山などで道がいくつも枝分かれしているときに、「迷ったときに引き返すための目印」のようなものだ。