毎年1月5日、総理大臣は三重県伊勢市の伊勢神宮を参拝する。安倍晋三首相もその例にもれず、参拝後の会見で「今年も経済最優先とし、1人でも多くの人にアベノミクスの果実を味わっていただきたい」と語った。

伊勢神宮は天皇家の氏神「天照大神」を祭る神社で、伊勢神宮年頭参拝は歴代首相による新年の恒例行事だ。安倍首相は会見で通常国会を「改革断行国会」と位置付け、原発再稼働を実現させる責任があるなどと決意を語った。

安倍氏は今年5月20日に首相在職1242日を迎え、戦後首相の中では、祖父の岸信介元首相を抜き第6位に浮上するが、悲願の憲法改正実現には、まだ時間が必要。伊勢神宮で首相は自身の政権の長期化を神に祈ったはずだ。“一寸先は闇”の政界に生きる政治家には、信心深い人物が少なくない。大平正芳元首相はクリスチャンだったし、池田勇人元首相も金光教信者の伊藤昌哉秘書官を通じて金光教教祖の意見によく耳を傾けていた。安倍氏の祖父の岸元首相も「踊る宗教」として知られる天照皇大神宮教(てんしょうこうたいじんぐうきょう)の開祖、北村サヨを敬い厚遇した。安倍氏周辺が語る。

安倍文殊院境内にある安倍氏の献灯碑。民主党政権下で野党に甘んじた2010年頃に寄進されたという。(AFLO=写真)

「安倍首相は、以前から、踊る宗教のサヨに感心して“あの人はすごい人だ”と、よく話しています。山口県の農家に生まれたサヨは岸元首相の故郷・田布施町に嫁ぎ、戦後に神憑(かみがか)りして教団を起こした。岸氏が戦犯として巣鴨プリズンに入獄する前、サヨは岸氏に“あなたは10年以内に必ず首相になる”と予言して的中させました。

一方、サヨの予言を信じなかった人に“あんたは3年後に死ぬ”と言ったら、こちらもその通りになったのです。

このため岸氏はサヨの力を高く評価。岸政権誕生後、サヨが公邸を訪ねてきたときも、岸氏自らサヨを出迎えた。このとき普段着姿で“野菜を持ってきた”と言ったサヨを、衛視は“何だ、このバアさんは”と追い返そうとしたらしい。安倍首相は幼少時からこの話を岸氏によく聞かされていたので、今も北村家を大事にしています」

前回参院選に北村サヨの孫の北村経夫参氏が出馬したが、北村氏は安倍氏の全面支援を受けて当選し、安倍氏がいる清和会(細田派)に入った。