──2015年5月17日に行われる「大阪都構想」の是非をめぐる住民投票。大阪で賛否が真っ二つに分かれている背景に、橋下徹市長による巧みな印象操作があると自民党の柳本顕大阪市議会議員は指摘する。

橋下市長の突き進むいわゆる「大阪都構想」は、「大阪市」の名称をなくすばかりでなく、市民に対して新たな負担を強いるものだ。実施される特別区の区割りに際しても、地域の伝統や歴史を無視している点が容認できない。

大阪市議会議員 
柳本 顕
(やなぎもと・あきら)
1974年生まれ。99年、初当選。2013年より自民党大阪市議団幹事長。

橋下市長の都構想は、そもそも大阪府への集権化と大阪市を5つに分ける分権化で財源を生み出して、大阪の成長のために使うということが謳い文句だった。ところが、府市再編のシミュレーションをしても肝心の財源は出てこなかった。逆に1つの大阪市を5つに分けることによる分割コストのほうがはるかに大きいということが明らかになった。橋下市長の都構想に成長戦略論が全く飛んでしまっているのはそのためだ。お金が出てこないから成長のために打つ施策が展開できないのだ。

橋下市長は、自らの政党のタウンミーティングでは「高級布団を売りつけるわけではありませんよ」といった表現をしながらも、説明に使うパネルは全部インチキだ。負債が幾らと書いてあるが、かかった経費を挙げているだけであったり、グラフも伸縮幅をわざわざ変えて見え方の印象を変えたりしている。ネット上でも「インチキグラフ」と指摘されているようだが、市議会でもその虚偽を断罪した。

橋下市長の手口はマンネリ化していて、本人も自分の賞味期限について強い意識を持っているようだ。スケジュールにこだわるあまり、内容に不備があっても修正せずに、強引に突っ走るケースが多い。