不景気のときほど積極的に人を採る
最後に、会社の強みと経営課題を比べてみる。自社の強みについて尋ねたところ、成長企業と伸び悩み企業で開きが目立ったのは、「人材育成」や「営業力」など(図11)。これらは人の問題である。つまり成長企業は、いい人材を採用し教育して、それを強みにしているといえる。成長企業が採用に力を入れていることは、優先的に取り組む経営課題についての質問にも表れている。伸び悩み企業が「売上拡大」を重視しているのに対して、成長企業は「従業員採用・教育」を重視している(図12)。
成長する中小企業は、不景気なときほど積極的に人を採りにいく。景気が悪いときでなければ、いい人材が労働市場に出てこないからだ。
では、景気が上向いて人が採りづらくなれば、中小企業はもう成長できないのか。そんなことはない。年齢や経歴に関係なく、いいと思った人材を社長が直接採れることが中小企業の強み。30歳を過ぎて業界未経験でも、転職後に輝く人はたくさんいる。そうした人材を社長の決断で採用できるかどうか。これからは、そこで成長企業と伸び悩み企業が分かれるのかもしれない。
(構成=村上 敬)