より傷んだ状態での企業倒産が増えている
私たちリスクモンスターは、企業の格付(RM格付)を提供している会社です。一般的な格付は生きている企業への評価というイメージだと思いますが、私たちは過去に倒産していった企業のデータ分析からアプローチしています。
創業から現在までの14年間には45万~50万社の倒産企業のデータがあります。これを分析していくと、売上高や利益、業種、取引先など企業に関するさまざまな情報と倒産との相関関係がわかります。それらをもとに独自の格付ロジックを作り、当社独自の「倒産確率」を算出しています。
最近は、財務体質が悪くなっても倒産しにくい傾向があります。具体的には、この3年間で倒産した企業と、5年前からの3年間で倒産した企業を比較すると、前者のほうが自己資本比率や減収率などがより悪い。つまり、より傷んだ状態になるまで、なかなか倒産しなくなっているのです。
理由のひとつは、中小企業金融円滑化法です。リーマン・ショックで資金繰りの悪化した中小企業の救済策として施行され、13年3月に終了しましたが、現在でも効力が残っています。このため救済策で延命している「ゾンビ企業」が少なくありません。
倒産しなければ雇用が守られるかといえば、必ずしもそうとはいえません。財務体質の改善を目的に、リストラに踏み切る企業は相次いでいます。「ゾンビ企業」が、生き返るためにも、人件費のような固定費の圧縮が必要です。