5割以上の減収では倒産確率が2%以上
勤め先の経営状況を判断する指標として、倒産と相関関係の高い項目を挙げてみましょう。まず注目したいのは、売上高に対する純利益の比率です。当該指標の対象とする国内92万社のうち、全体の半数近い43万社が純利益率1%未満となっています。
私たちの分析によると、純利益率が1%以上の場合には、純利益率の大小と倒産確率の間に明確な相関関係はみられないものの、0.5%未満になると倒産確率は徐々に上昇し、0%未満、つまり赤字の場合にはほとんどの業種において倒産確率が1%以上になります。国の「日本標準産業分類」では「中分類」で業種を99に分けており、(図表)では、その分類にそって各業種の利益率をベスト10とワースト10でまとめています。参考にしてください。
次に注目したいのが、売上高の増減率です。
全体でみると、売上高が1年間に10%以上減少している場合には倒産確率が高くなり、特に50%以上の減収ではすべての業種で倒産確率は2%以上となります。なかでも卸売業や小売業では、一定の在庫負担が生じ、製造業のような生産調整が困難といった観点から、ほかの業種に比べて売上の変動による資金繰りへの影響が強いという傾向があります。10%~20%程度の減収でも倒産確率が平均よりも高いという傾向が出ているからです。
さらに注目したい項目は、総資産における借入の割合を示す「借入依存度」です。13年10月から14年9月までのデータを分析すると、借入依存度が60%以上になると、倒産確率が平均を超えて、警戒水準に近付くことがわかります。このうち、特に総合工事業では、借入依存度が40%を超えたあたりから、倒産確率が上昇しています。
借入に関しては「メーンバンクの変更」も有力な判断材料です。特に地域密着型の金融機関への切り替えには注意が必要です。業績悪化などでメガバンクからの与信を得られなくなったことが、切り替えの原因かもしれないからです。