社長自身が学び、先頭に立って実行する

学び、研究し、試作を繰り返しながら、岡崎は自分の理論を作り上げていった。2006年にキーストーンを設立。08年にようやく製品第一号となるLED照明器を開発。09年に卓上型の栽培装置、10年にAGRI Oh!を作り上げた。この頃、ようやく事業化への手応えを感じ始めた。専門だった回路設計の技術が製品開発に役立ったと岡崎は言う。

放送大学は大学院まで進み、修了後、現在は鹿児島大学大学院の博士課程に進学し、博士号取得を目指している。

本業は次第に縮小し、植物工場事業に特化するべく、企業体制を変えた。いわば、第2の創業と言えるだろう。

岡崎は新事業の立ち上げについて、「あらゆる情報ソースにアンテナを張っておくことが大切」と語る。

「あくまでも自分の得意分野を活かし、新事業につなげるかが大事です。いきなり目標を狙わず、そこに向けて近いところから何本も橋を架けていくことでしょう。それも大学の研究者や部下に頼らず、社長自身が学び、先頭に立って実行しなければいけません」

キーストーンの製品に対して海外からも注目が集まり、いま海外展開の準備を進めている。上場も視野に入り、これから同社は注目株となるだろう。
(文中敬称略)

株式会社キーストーンテクノロジー
●代表者:岡崎聖一
●創設:2006年
●業種:植物工場システムおよび植物栽培用照明の開発・製造・販売、農作物生産・販売など
●従業員:8名
●年商:3億円(2013年度)
●本社:横浜市中区
●ホームページ:http://www.keystone-tech.co.jp/
(山本信介=撮影(岡崎氏))
【関連記事】
ノーベル賞「青色発光ダイオード」はいかに生まれたのか
「4カ月で半値LED電球を作れ」社長の大号令で全力疾走
社員4名! Bsize「美しく、高性能」なデスクライトで数カ月待ちの大ヒット
中小企業も躍進! 注目の5分野はこれだ
拝見、最新式「植物工場」-人工の光と水と土で安心な野菜づくり