組織づくりの原則、基本を再確認せよ

人間、同じ組織に単に所属するだけで、隣の同僚と団結協力し、全力で勝利を目指すかといえばそうではありません。なんの管理もない職場では、人は容易に仲違いして反目し、お互いに嫉妬で足を引っ張り合うことが日常茶飯事になるからです。

さらには権力を持つリーダーや上司におもねり、仕事の実力ではなくお世辞がうまい人間が出世するなど、人事における不公正やリーダーの配慮のなさも組織力を損ねます。

単に雇用するだけでは、その人の200%全力の能力を発揮させるなど、夢のまた夢です。このことは、巷によくある職場の現状を見聞きすれば、誰もが納得するでしょう。

「呉と越とはもともと仇敵同士であるが、たまたま両国の人間が同じ舟に乗り合わせ、暴風にあって舟が危ないとなれば、左右の手のように一致協力して助け合うはずだ」

「全軍を打って一丸とするのは、政治指導が必要である。勇者にも弱者にも、持てる力を発揮させるためには、地の利を得なければならない」(前記より引用)

雇用する側の目標意識と、雇われる側の意識には大きなかい離があることが通常であり、なおかつ複数の人材が同じ職場で働くと、目標達成以外のことに余分なエネルギーを使い混乱や停滞を招く。これは2,500年前に孫武が生きて活躍した時代から、曹操や劉備の三国志の時代、そして現代のビジネスシーンでも変わらない風景だと言えるのです。

部下の目的意識のなさにイライラし、職場の一致団結ができてないことを嘆くなら、孫子の兵法に書かれた組織づくりの原則を読み、基本を再確認するとよいかもしれません。