最相葉月(さいしょう・はづき) 
1963年、兵庫県生まれ。関西学院大学法学部卒業。著書に『絶対音感』(小学館ノンフィクション大賞)、『星新一 1001話をつくった人』(講談社ノンフィクション賞、大佛次郎賞、日本推理作家協会賞、日本SF大賞、星雲賞)などがある。

「絵を描いたり、砂を敷いた箱におもちゃを置くことが、なぜ心の癒やしになるのか。とても不思議でした。なぜ病むのかではなく、人の心がどう回復していくのか。カウンセリングとは何か、知りたかったんです」

最相葉月さんは心理療法の取材をはじめた動機をそう話した。カウンセリングといっても値段はバラバラだし、資格も様々。どんなやり取りで治療が進むのかもわからない。

本書は、言葉自体にどこか曖昧な印象があるカウンセリングの歴史や方法、そして現場を明らかにした1冊だ。最相さんは心理療法家の河合隼雄と精神科医の中井久夫、2人の歩みを中心に、患者と向き合うセラピストたちを取材していく。河合は砂を敷き詰めた箱におもちゃを配置して庭を作る箱庭療法の、中井は川や森、人の絵をある順序に従って描かせる風景構成法の第一人者である。

(原 貴彦=撮影)
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