大学のときには、「日米学生会議」で渡米し、国連本部やジェネラル・モーターズ本社を訪れて相手側のレクチャーを受けた。このときも自ら無茶ぶりを課した。どの会合でも、真っ先に手を上げて質問すると決めていたのである。

当時は英語力が未熟だったから、あらかじめ、頭の中で質問の英文を作ってから、発言していた。無謀もいいところだが、私は手を上げることを絶対にやめなかった。

当時は脳科学の知識などないが、今考えれば、理屈に適っていたと思う。自分ができるかどうかわからないことに挑戦して、成功すると「ドーパミン」が出る。失敗してもかまわない。むしろ、失敗と成功が入り交じった挑戦の際に、ドーパミンがもっとも効率よく放出される。

私の経験から言えることは、日本人は、英語について、もっと大胆になっていいということである。自分の今の英語力では無理と思わずに、どんどん無茶ぶりしてほしい。ドーパミンを活かした英語力上達の秘訣がそこにある。

この文章は、学会のため滞在しているアメリカのアリゾナ州ツーソンで書いている。今回、また無茶ぶりに挑戦する。脳と意識の問題について、アメリカの放送局のインタビューを受けるのだ。

はたしてうまくしゃべれるかどうか。ドーパミンを出すためにもがんばりたいと思う。

(写真=PIXTA)
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