最新のテクノロジーや、広げるに値するアイデアについて、ビル・ゲイツ氏やアル・ゴア元副大統領など、著名なスピーカーが話すことで知られるTEDの会議が、3月に開かれたので参加してきた。

スピーチはTEDのHPまたはYouTubeの公式チャネルで無料公開されている。

この連載の読者ならばおそらくご存じのように、TEDは、英語の「技術」(T)、「教育」(E)、デザイン(D)の頭文字を表している。今回の会議も、グーグルの共同創業者のラリー・ペイジ氏や歌手のスティング氏、女性の教育機会の平等を訴えて著名なマララさんの父、ジアウディン・ユスフザイ氏などが力のこもったスピーチをした。

会議のハイライトの一つは、アメリカの国家安全保障局(NSA)による情報収集の実態をリークし、今はロシアに亡命中の元職員、エドワード・スノーデン氏が、インターネットの回線で登場したことだろう。

しかも、通常のビデオだけでなく、「ロボット」になって、ステージを動き回りながらのスピーチ。会場は大いに沸き、欧米のメディアでも、広く取り上げられた。

スノーデン氏の活動は、議論のあるところ。バランスをとるため、後に、NSAの副長官による「反論」のセッションを設けていたのも、いかにもTEDらしかった。

私がTEDに出席するのは、4回目。来年の参加の予約も、すでに済ませてしまった。なぜ、TEDに参加し続けるのか。その理由は、端的に言えば徹底的に「打ちのめされる」ためである。

TEDの組織、運営はすごい。第一級の経営者、作家、哲学者、エンターティナーが登壇し、世界の最先端のスピーチをする。それを聞きながら、自分には何ができるかと、問いかけるのがクスリになる。

私は、2012年のTEDに、日本人として初めてメインステージに登壇して3分間のスピーチをした。それは一つの誇りだが、必ずまた戻ろうと思っている。単なる聴衆で終わるつもりはない。どんな活動をするにせよ、TED のメインステージに登壇できるようなレベルでありたい。