リフォームしづらい直床・直天井

直床・直天井の悪影響はまだあります。リフォームがしづらくなるのです。15階建てマンションの管理規約や細則には、勝手にカーペットをフローリングに変えたり、コンクリートの床・壁などに釘やビスを打ち付けたりすることを禁止しているケースが珍しくありません。例えば、リフォームで壁の位置を移動したいとき、床・壁に固定のための措置が必要になりますが、それが不可能になるのです。規則を無視して勝手にリフォームしたら原状復帰(元の状態に戻す)を求められます。

さらに、窓のサッシへの影響も生じます。直床ゆえにサッシのレールを床と同じ高さで設置しますと、雨水が浸入する恐れがあります。だから、床スラブから15センチほどコンクリートを立ち上げる水返し壁を設置し、その上にレールを設置するのです。そのことで、せっかくの窓が小さくなるだけでなく、フロアからそのまま障壁なくベランダへいくことができません。またがないといけない。その点、二重床の14階は下階までの空間が大きいのでフロアとレールをフラットにできます。

15階建てにすると、ワンフロア増えることで容積率いっぱい消化するので、建築面積(敷地のなかで建物が占める広さ)を多少狭くでき、その分、中庭のエクステリアの自由度が高まります。しかし、物件選びで重要なのはそうした見た目ではなく、デベロッパーが顧客の住み心地にどれくらい配慮するかなのです。

一級建築士、碓井建築オフィス代表 碓井民朗
1947年生まれ。東京理科大学工学部建築学科卒。最新刊に「建築・設計のプロが教える『良識あるマンション』の見分け方・選び方」など。
(構成=大塚常好)
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