世間のことがある程度わかった大人になってから、受験科目を見直してみると、なかなか知的好奇心をくすぐるものがある。もはやテストの心配もない。「大人の教養」を楽しんで身につけてみませんか?

生活の役に立たないと考えていると損をする

「数式を解けても、実生活には何の役にも立たないじゃないか」

代々木ゼミナール講師 荻野暢也 
東京理科大卒。ダースベイダーとウルトラセブンを愛する代ゼミの数学講師。著書に『荻野の天空への理科数学』。

数学嫌いの人はよく、こんなことを言いますが、それでは「実生活に役に立つ知識としての数学」に親しんでいただける本を紹介しましょう。『面白いほどよくわかる確率』。この本は見開き単位で「宝くじの確率」「誕生日が一致する確率」「3割打者がヒットを打つ確率」など身近なテーマで確率を論じています。たとえばパチンコ。大当たり確率300分の1の台は「300回まわせば当たる」と思いがちですが、確率の計算式に当てはめ“必ず大当たりする”確率を求めると1400回まわす必要があるのです。そうした確率における誤解、知らないと損する錯覚を解き明かしてくれる一冊。

数学に抵抗感のない方には『数学ガール フェルマーの最終定理』がお勧めです。高校生の主人公と3人の女の子が350年間証明しえなかったフェルマーの定理に迫る内容です。大学の教養課程レベルの数学が出てくるのでややハードルは高いですが、ストーリー仕立てで萌え系要素もあり、ハマること請け合いです。冒頭はこんなクイズから始まります。「11、31、41、51、61、71。このなかで仲間はずれの数字はどれ?」。答えは本書で。

●オススメの2冊

『面白いほどよくわかる確率 ~身の回りの「数字」から数学思考が身につく!』
(野口哲典/日本文芸社)
――身のまわりで起こることの確率をやさしく解説。

『数学ガール フェルマーの最終定理』
(結城浩/ソフトバンククリエイティブ)
――ストーリー形式で難解な数学理論を解き明かしていく。『数学ガール』は3部作。
(相澤光一=構成 奈良岡 忠=撮影)
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