脳のなかでも、左脳は言語や数字などの論理的思考を、右脳は映像、芸術など感覚的発想をつかさどるとされています。簡単に言うと「数字に強い人」というのは、左脳の前頭葉という部分が発達しているといえます。

左脳型の人は、言葉で説明することや理屈を重んじるため、最後まで納得しないと決断することができず、行動に移るまでに時間がかかります。一方、右脳型はひらめきや直感力に長けており、決断が早いのが特徴です。

女性のほうが数字に弱いと思われていますが、実は逆で、女性のほうが左脳型で論理的思考に強く、男性は右脳型で直感的思考に強いという傾向があります。

医学部の受験でも、試験結果では圧倒的に女性が上位を占めてしまうので、男女比のバランスを操作するという話もあるほどです。実際は数学が得意なのに女性数学者が少ないのは、むしろ能力を追求した生き方を選びにくいという社会文化の問題でしょう。

ビジネスの場面でも、数字に強い人・弱い人の違いは出てきます。

例えば、「125億ドル」と聞いて、ぱっと日本円に換算できる人もいれば、為替を調べて電卓で計算してみないとわからない人もいます。

数字に強い人は、仕事に関係するさまざまな数字がすぐに頭に入ってしまいます。一方、数字が苦手な人は、「苦手意識」が邪魔をしています。苦手意識があると、数字を見ていても楽しめないので、脳神経細胞同士の連絡を取り持つ神経伝達物質のひとつ、ドーパミンが出ません。ドーパミンは、「やる気ホルモン」ともいえるもので、意欲をアップさせてくれるもの。それが出ないと脳が活性化せず、数字がなかなか頭に入らないのです。

右脳型の人が、急に数字に強い左脳型に変わることは難しいですが、だからといって諦める必要はまったくありません。脳の働きの特徴を知り、工夫して努力すれば、数字に強くなることができます。

カギは「好奇心」です。どんなに数字に弱い人でも、興味があることに関わる数字ならいくらでも頭に入るはずです。例えば、仕事にまつわる予算や目標値の計算はなかなか覚えられなくても、車好きであれば排気量や車種の型番、走行距離などはすぐに頭に入るでしょう。