脳は、最初は新しいものに対して拒否反応を示すようにできています。これは、新しいもの、すなわち未知のものに対して警戒するという防御機能です。具体的には、右脳前頭葉が警戒反応を示します。「さあやるぞ」と意気込んで数字に取り組もうとしても多くの人は、ここで挫折してしまうのです。
しかし、同じ刺激が続くと慣れてきて拒否感が薄れ、恐怖感を克服することができます。苦痛が減り、「おもしろい」と感じるようになります。この段階になると、対象に親しみを覚え、情報は左脳前頭葉で処理されるようになっています。
大切なのは、「繰り返すこと」です。新しいものに対する拒否反応がなくなるまで繰り返すことで、数字に楽しさを見出せるようになると、理解が加速度的に進むようになります。また、何度も数字に接することで、脳の処理能力は上がり、頭に入るようになります。脳には非常に柔軟性があるので、今苦手なことも、繰り返すうちに苦手でなくなったりするのです。
右脳的な能力を使いながら数字に取り組むのも効果があるでしょう。数字が苦手ということは、裏を返せば映像や直感をつかさどる右脳が発達しているということ。それを活用して数字を図式化するとよいでしょう。単なる数字の羅列では頭に入らなくても、グラフなどの図にすることで、頭に入りやすくなるはずです。
注意したいのは、繰り返しばかりで飽きがきてしまうこと。飽きると数字への興味を失い、脳の処理能力も下がってしまいます。
そうならないよう、絶えずドーパミンを出すには、レベルを上げて、少し難しいことをやってみるのが効果的です。脳も筋肉と同じで、まったく負荷にならない運動をしていては伸びません。「できるようになった」という小さな成功体験を感じたら、少し負荷を上げて、次の目標設定をするのです。
数字が苦手な人は、こういった成功体験がないため、余計に苦手になっていることが多いようです。成功体験がなければドーパミンが出ず、数字に対する意欲も持つことができません。