日本人は比較的左脳型の人が多く、映像や芸術、直感に強い右脳型が少ないと言われています。数字を覚えたり計算したりという、受験レベルでは左脳の能力が大きく関係しますが、数学者や将棋のプロ棋士など「天才」レベルになると、左脳だけでなく、ひらめきやセンスなど右脳的な能力も求められます。
天才レベルになると、論理を組み立てて答えを導き出すのではなく、ぱっと見ただけで瞬時に答えがひらめくといいます。
ビジネスでも同様です。優れたビジネスマンは、数字に強いだけでなく、「売れるかどうか」が直感的にわかったり、ユニークなアイデアを生み出す力に長けています。
しかし、それは生まれつきのものばかりではなく、経験に基づく部分が大いにあります。最初は数字が苦手でも、反復して取り組めば、右脳的な理解ができるようになるものです。
私も医大生時代は、血液検査の結果について「どの数値がいくら以上・以下だと異常か」が、なかなか暗記できずに苦労しましたが、今では検査結果表をぱっと見ただけで、その数値が何を表す数値かをわざわざ照らし合わさなくても「この位置にこの数値があるのはおかしい」と直感的にわかるようになりました。検査結果表が映像として頭に入るようになったのです。
苦手意識を克服し、飽きないようにレベルを上げながら繰り返して経験を重ね、判断力をつければ、ビジネスに活きる、数字に強い脳をつくることができるのです。
(大井明子=構成)