吊るし上げ会議が新しいアイデアの芽を潰す
イノベーションは不確実性に満ちている。タイミングは適切か、消費者はリピーターになってくれるか、技術が手ごろな価格で商品化できるか、ビジネスモデルは成功するだろうかなど、不確実な要素を挙げればきりがない。すべてを適切に行っても失敗する場合があり、イノベーションを評価する場合、そんな現実を考慮しなければならない。
ほとんどの企業は、販売・売り上げ目標、利幅、マーケットシェア、キャッシュフローなどの評価基準に照らしてパフォーマンスを評価し、前に進み続けるためにはどのような行動をとる必要があるかを決定する業務評価会議を定期的に行っている。多くの場合、それは管理的なもので、ののしり言葉と激しい屈辱感に満ちた「恐怖の会議」になることがある。
イノベーションを育み、着実な内部成長を生み出すようにするためには、そうではない雰囲気が必要だ。プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)の評価会議は選択肢を探す場、前提を掘り下げる場、明確さを追求する場である。同時にどれだけ資源を投入するか、どのような場合にプロジェクトを縮小したり、続けさせたりするかを決定するにあたって、一貫した手法を持っている。
イノベーションのコーチは上司
イノベーション評価には、業務計画や予算見通しの評価より大きな不確実性が伴うため、まったく異なる考え方が必要だ。リーダーの役目は、巧みな質問によってチームメンバーの思考を広げ、どのような手段を検討し、誰にアドバイスを求めるべきかを示唆し、スケジュールを定めてそれが達成されるようにすることだ。ある意味で、リーダーはイノベーションのコーチになるのであり、特定の行動を奨励し、チームメンバーの視野を広げ、士気を高めるのである。