簡単にまとめると、リーダーの仕事は次の3つである。
(1)率直な評価を与える
リーダーはイノベーション・チームの活動について、率直な評価を与える必要がある。見通しのなかに楽観的すぎるものはないか。消費者または顧客について明確なイメージを持っているか。競合他社を何らかの理由で過小評価してはいないか。必要な人的資源と金銭的資源の両方を手にしているか。このプロジェクトの活動は停止するべきか、それとも加速するべきか等、さまざまな角度から検討・評価する必要がある。
評価会議の時間内に問題を解決しようとするのではなく、チームでどのような行動が必要かについて合意すればよいのだ。
(2)力を貸す
リーダーは大きなアイデアをより大きくすることを目指すべきだ。「このアプローチを検討してみたかね」というような質問をしたり、「これと似通ったことをX社やY産業が経験していたと思うのだが」というようなコメントをすることで、チームメンバーの思考を広げ、イノベーションの新しい可能性に気づかせることができる。
リーダーは、チームにとっての重要課題を突き止め、それに対処する手助けもする必要がある。そのためには、似通った課題を克服した別のグループに接触するよう指示することが必要な場合もあるだろうし、チームが必要な資源を入手できるよう手助けすることが必要な場合もあるだろう。
(3)自由な会話を促進する
会議は対話の場であり、チームのミスを暴くことではなく、アイデアを掘り下げ、説明し、前進させることが大切なのだ。チームを奮い立たせ、積極的にリスクをとる姿勢を高めるものでなければならない。会議が勝ち負けを決める場のように感じられたら、チームの姿勢は保守的になる。
「障害は何か」「もっと資源があったら何ができるか」「ほかにどんなやり方を検討したか」「社内外からのどのような支援が必要か」といった質問をぶつけよう。
たとえば、ゼネラル・エレクトリック(GE)では、ジェフ・イメルト会長が、イノベーション評価の際のプレゼンテーションに求めるのは売り込み口上ではなく、チームがアイデアをどのように形にしているかを示す優れたビジュアルだということを明確にしている。彼は実際のプロトタイプ、場合によってはバーチャルのプロトタイプを見せるよう要求する。それから世界各地の業務や、さまざまな顧客との対話から得た広い視野で、その限界を探り、押し広げるのである。
イエスかノーか、探求を続けるべきかを決定するのはリーダーの仕事だ。おそらくリーダーの最も重要な役目は、メンバーに「消費者がボス」であることを認識させ、いわゆる顧客目線が意思決定の中心に据えられ続けるようにすることだろう。