一般のサラリーマンが安心して入れる
現在のところ、高齢者の住まいは特養と有料老人ホームの独壇場である。しかしいま、そこに新たに参戦し始めているビジネスがある。通称、高専賃と呼ばれる「高齢者専用賃貸住宅」のことだ。まだまだ勃興したばかりの市場で、業者によって玉石混淆の状態であるが、学研ココファン社長、小早川仁氏の事業への決意は固い。
「これまでの高齢者の住まいには、利用者目線の選択肢があまりにも少なすぎました。交通で例えるならば、安いバスや電車などの公的な交通機関は混みすぎていて利用できず、かといって自家用車を買おうにもお店にはベンツしか売られていない状態。そこに我々はカローラを投入します。これまで空白だったゾーンを狙う。ごくごく普通のサラリーマン家庭、厚生年金をコツコツと払い続けてきた人々が安心して老後を暮らせる居住空間をつくり上げるのです」
従来、子ども向けの学習教材を中核に据えて事業展開してきた学研グループは、これからの少子高齢社会に向けて介護事業を最重要事業とする方針を定めた。ターゲットは15年後。要介護高齢者と子どもの数が逆転する25年を見据える。
いまから数年ほど前の04年頃、飲食店や出版業界など各方面の会社がこぞって介護事業に乗り出した「有料老人ホーム戦争」の時期があった。雨後の筍のように増え続ける有料老人ホームは、しかしほとんどが一般人には高価すぎる物件だった。ところが学研はこのレースにはあえて参戦しなかった。