仕事に悩んだとき、指導や助言を求める相手をメンターといいますが、本書は私のメンターです。
内容は、稀代の実業家である渋沢栄一が、『論語』について、事業上の体験や古今の人物を材料に解説したもの。たとえば人物登用については、才能ばかりを見るのではなく、人物の全体を観察して、より堅実な人を重用すべきだと論じています。その具体例が豊臣秀吉。才智には富むが、人望の薄い石田三成を重用したことが、豊臣家の滅亡を早めた、というのです。さらに渋沢は「どんな英雄豪傑で、どんな才人智者でも、自分一人ではたいした事業が営めるものではない」といいます。だからこそ、価値観の共有が重要。本書を社内で勧めています。