逃げるときに「最も重要なこと」
ヒグマが爪を使って、かなり器用に物事をこなすことはよく知られている。
以下は羅臼町の民家に侵入したヒグマの事例である。
(前略)サシミや揚げ物などの皿が冷蔵庫から取り出され、食べたあとの皿が割れもしないで六、七枚重ねてあったという。さらに、一升瓶に清酒が三分の一ほどあったのだが、倒れて空にされ、床にこぼれた形跡もなく、ヒグマが飲んだに違いないとも。梅干しとピーマンは嫌いらしくて手つかず。メロンは表面の薄い皮だけきれいに残し、ほとんど芸術的ともいえる器用な食べ方だった(『朝日新聞』昭和63年7月17日 日曜版)
クマが車のドアを開けて入ってきたらどうするか、というのは難しい問題である。
対策として考えられるとすれば、クラクションを鳴らして驚かせる、くらいだろうか。
車に侵入を試みる理由は、おそらく過去に食べ物を得た(あるいは与えられた)経験からと思われるので、手近に食べ物があれば投げ与えて、そのすきに逃げるという手も考えられるだろう。
一方でオートバイが襲われた冒頭の事例では、母熊は攻撃的になっているので、停まって対決するよりも逃げることを考えたほうが現実的である。
とはいえ押し倒されればそれまでなので、その場合は、よく言われるようにうつ伏せになって(幸いヘルメットをかぶっているので)、死んだふりをするしかないだろう。バイクを押し倒したことで、母熊が満足して去って行くかもしれない。
もう一つのチベットヒグマに追いかけられた事例では、おそらく若グマの好奇心から追ってきたと考えられるが、こちらもとにかく逃げるしかないだろう。
その際に重要なことは、帽子やマフラー、上着などを投げ捨て、ヒグマの関心をそらすことである。
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