参加者を平均79歳の時点で評価したところ、中年期に好ましい健康状態を保っていた人ほど、高齢期にフレイル(加齢に伴う心身機能の衰え)になる割合が大幅に低く、さまざまな指標で生活の質(QOL)が高いと報告した。心理的な充足度も高く、より大きな幸福感を抱いている傾向がみられた。

5つの条件をすべて満たしていた男性のうち、高齢期にフレイルと判定された人はわずか2.2%だった。これに対し、1つも満たしていなかった男性では24.5%に達した。

また、中年期の健康状態が最も良好だったグループは、幸福度のスコアが高く、健康に関連する生活の質についても複数の領域で優れた結果を示した。

5つのうち何を優先すべきかについて、ストランドベリは人によって異なると説明する。

「喫煙しているなら、まず禁煙するのが最善だ。血圧とコレステロールのどちらを優先するかは一概には言えず、どちらが高く、より大きなリスクになっているのかを個別に判断する必要がある」

研究チームによると、今回の研究は最長60年にわたって参加者を追跡している点が特徴だ。そのため、死亡リスクだけでなく、人生の晩年における生活の質まで調べることができた。

2025年1月までに参加者の約94%が死亡しており、中年期の健康状態がその後の老化や寿命にどのような影響を及ぼすのかを長期的に検証できる貴重なデータとなった。

ただし、研究にはいくつかの限界がある。調査対象は男性のみで、その多くは社会経済的な背景が似ており、フィンランドで暮らしていた。そのため、他の集団にも同じ結果が当てはまるとは限らない。また、観察研究であるため、この5つの条件が良好な老後を直接もたらしたという因果関係までは証明できない。

それでも、中年期に心血管疾患のリスク因子が少なかった男性は90歳まで生きる可能性が高いだけでなく、老年期のフレイルが少なく、生活の質や幸福度も高い傾向が明らかになった。

「この5つの因子については、すでに実践可能で現実的な改善策がある。老化研究の特別な手法や複雑なバイオハッキングに頼らなくても、より幸福な老後を迎えられる可能性を高めることができる。これこそが今回の研究の最も重要なメッセージだ」とストランドベリは述べる。

Reference

Strandberg, T E., Strandberg, A Y., Pitkälä, K H., Kivimäki, M., Low cardiovascular risk in early midlife and quality of life in old age: a life-long follow-up study in men, European Journal of Preventive Cardiology, 2026;, zwag429. https://doi.org/10.1093/eurjpc/zwag429

当記事は「ニューズウィーク日本版」(CCCメディアハウス)からの転載記事です。元記事はこちら

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