「任命責任を重く受け止めている」
首相にとって計算違いだったのは、野党10会派が14日、簗氏の問責決議案提出で一致したことだった。仮に提出されていたら、可決する可能性があるだけでなく、臨時国会での消費税減税・支援金法案や衆院定数削減法案の審議にも少し影響が出たことだろう。
高市首相は14日、簗氏の辞表提出を受け、記者団に「任命責任を重く受け止めている」と弁明したが、政権内に混乱を招いたことについて謝罪も反省の弁もなかった。
簗氏については「今日も(衆院予算委の)答弁を聞いていたが、まだ私自身も含めて十分に理解を得られた内容だとは思っていない。今後、一国会議員として説明責任を果たしてもらいたい」と突き放した。
簗氏は辞任後、国会に現れず、メディアの前からも姿を消している。地元ではお詫び行脚を求められているが、公選法違反疑惑への対応に追われているのか、実現していない。
高市改造内閣では、武部農相が2024年10月の衆院選公示日に代表を務める党北海道第12選挙区支部が国交省の港湾業務を受注していた地元の海運会社から30万円の寄付(献金)を受け取っていたとの報道など、数々の公選法違反疑惑が取り上げられている。
関芳弘文部科学相も初入閣前の2020年12月と2024年6月の2回、衆院内規で禁じられている議員会館で政治資金パーティーを開いた問題がしんぶん赤旗から追及されている。関氏は旧安倍派の政治資金事件で836万円の不記載が指摘され、党の戒告処分を受けていた。
支持層で責任が大きいと「思う」は35%
こうした閣僚の辞任や不祥事があると、内閣支持率は低落する傾向にあるが、高市内閣はそれに当てはまらない。10月の読売新聞世論調査(16~18日)では内閣支持率は57%で、前月から2ポイント減の横ばいだった。不支持率は30%(前月30%)だった。
簗氏が更迭されたことを当然だと「思う」は82%で、「思わない」の10%を大幅に上回った。一方、高市首相の責任について大きいと「思う」46%と「思わない」46%が並んだ。内閣不支持層では「思う」77%、「思わない」19%で大差がついた。
内閣支持層や若年層、中年層の現役世代は簗氏の問題と首相の責任を切り離して考える傾向が強いらしい。支持層では首相の責任が大きいと「思う」は35%にとどまった。
政治的スタンスによって、同じ対象への評価基準が異なるのは、安倍晋三政権以降に見られる党派的分極化によるものだ。高市首相を「推し活」している支持層は、野党やメディアから危機管理の不備などへの批判があっても、異なる情報環境にいて、状況の変化を見極めて更迭したのだから責任はない、などと心理的に首相擁護に傾きがちだという。
内閣支持率を常に気にかけている首相が、危機管理の仕組みと実務を学び直し、何でも独りで決定する政治スタイルを見直すきっかけが当面、望めないことにもなる。
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