「説明責任」のポイントは、なぜ那須烏山市は前年度比で64%減(国交省によると26%減)、那珂川町は54%減になったかという算定根拠の開示だろう。国交省はその後、那須烏山市内の重点配分対象事業が26年度内で終了することや那珂川町内には対象事業がなかったなどと説明したが、そもそも同省は自治体ごとの配分額、県の事業に対する社会資本整備総合交付金(国費)の上乗せ分などの算定根拠や調整過程を明示していない。

国交省関係者は一様に「簗氏が予算配分に関与できるはずがない」「一度付いた予算をはがすことはあり得ない」と明言する。

実際には予算カットはなかったのだろう。だが、国交省の配分の匙加減が不透明なだけに、政治家が「予算を取ってきた」と地元にアピールする余地を残しているともいえる。

「本当に不適切でダサいと思う」

危機管理の「処分を含むガバナンス」という点で、高市首相の判断はどうだったのか。

日本維新の会の前原誠司元外相が10月7日、簗氏について京都市内で記者団に「政治家として失格だ。閣僚を辞めるだけではなく、議員辞職に値する」と語った際は、維新側に「言い過ぎだ」と苦言を呈していた。

転機は13日の衆院予算委だった。公明党の中野洋昌氏が「発言そのものが大臣の適性を欠いている」と更迭を求めたのに対し、首相は「本当に不適切でダサいと思う」と、それまで擁護していた姿勢を一変させた。

令和8年10月5日、参院本会議で所信表明演説をする高市首相
出典:「第222回国会における高市内閣総理大臣所信表明演説」(首相官邸ホームページ)

野党は同委で、選挙時に簗氏の陣営が支持者をシャトルバスで出陣式に無料送迎したとの週刊文春報道を受け、公職選挙法が禁じる利益供与の疑いがある、と一斉に追及した。

簗氏は当初、スタッフがバスを借りる前に栃木県選挙管理委員会に照会し、「会場費の一部として計上する」との回答を得ていたとして、違法性を否定した。野党側が同選管に確認したところ、公示前に簗氏側から相談された記録も記憶もない、事前に聞かれれば公選法違反の可能性があると答えるはずだ、という内容だった。

この食い違いに、首相は「違法性があるようなことがあれば、私は躊躇しない」と述べ、初めて更迭を示唆したのである。

簗氏は、翌14日の衆院予算委で答弁が揺れる。選管への照会は事前ではなく、収支報告書への記載方法だった可能性がある、と事実上、前日の発言を修正したのだ。

14日には簗陣営が2024年衆院選で、選挙運動に携わった運動員に報酬を支払っていたという新たな公選法違反(買収)疑惑が週刊文春電子版に報じられる。ここに至って、首相がようやく更迭に踏み切ったが、委員会の場でこれほど醜態をさらした例は稀だろう。